それにふさわしいようすになる。かっこうがつく。と、云う
意味です。
これは別に高価な服を着用するという訳では無い。
作業服が実に似合う人もいれば、背広姿がさまになる人もいる。
祭り半纏がよく似合う人、部下を酒場へ大勢引き連れて勘定
は、「幾ら!釣りはいいよ。」と、自分が支払いをする人。
酒屋の小僧が誤まって酒瓶を三和土(たたき)に落としてしまった。
謝る小僧に「いいって事よ。三和土も旨い酒を飲んでいい思い
しているだろうよ。」
こんな主人も格好がいい。
世の中にはこんな「さまになる」人は大勢いるだろう。
さ・て・
今日は「様にならない人」を実は書きたくてー。つい前置きが
長くなりました。
中島らも著「今夜は、すべてのバーで」こんな場面がある。
主人公がアルコール依存症で入院中であった。
病院の浴槽内の出来事である。
ある男性が入って来た。背に彫り物がしているが、色つけが
なぜかされて無い。
墨でアウトラインだけが浮かんでいる。
湯につかると彼はこう話しだす。
「しかしなあ。ヤクザも病気なったらあかんわ。さっぱりわやや」
「何で入院されてるんですか?」
「糖尿や。ちょっときついやつや」
「やっかいですね」
「考えてみいな。ヤクザがやで、左のポケットにチャカ(拳銃)
入れてんのはええとせんかいな。反対側のポケットに
”糖尿病手帳”と”角砂糖”入れてんねんで。死んだ時かっこ
悪いやないけ。注射もやな、シャブやのうてインシュリン射つ
んやで。これでは若いもんにシメシつかんわなあ。、、、
あかん。ヤクザは病気んなったらあかんわ。」
「そうですねえ」
「組は健保も入ってないしなあ。病院代つくるんで、わし、
入墨彫ってたん、一時ペンディングしてるんや」
(本文184ページ11行引用)
ペンディング【pending】
未解決の状態にとどまること。保留すること。
その筋の方もさまにならない事はやはり気になるようです。
尚、この小説は本人の体験を基に書かれているようです。
彼も連続飲酒がありアルコール依存症であった事は認識し
ていたようです。
中島 らも 1952年4月3日 - 2004年7月26日没
閑人の閑思案です。
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